望まれている。
それでも私はしがみついて
「やかましい」
と、ドアが開けられ、起きるか寝るかとっとと選べと携帯電話に伸びる腕がいつまで経っても来ないことが不思議だった。耳を引っ掻く音がいつまで経っても止まないことが不安だった。
でも、本当は眼を瞑っていたかっただけだった。
ぴぴぴぴぴぴ‥‥。
五月蠅いなぁと思ってまぶたを上げたら目が覚めました。
携帯電話のアラームが鳴っていました。鼻の先に転がったまま電子音を流し続けるそれを、私は少しの間茫然と眺めておりましたが、あぁ、時間だ、と指先に僅かな力を込めました。
そこで私は気付いてしまったのです。それを私よりも先に止めてくれる人はもういないのです。忘れていた筈などないのですが、私はそれが時々分からなくなっているようなのです。
私はのっそりと布団から這い出ると、同じような動作で頭からシャツを被りました。
トーストに、今日はベーコンも欲しい。野菜があったらサラダも作って貰おう。起きたばかりでお腹がすいていましたし、何かを食べればこの茫然とした今がどうにかなるとも思いたかったのです。
だるい風体を隠しもせず(そもそも隠す必要などないのだが)そのまま居間へ行き、テーブルの上を見て、私はまた気付くのです。
リモコン。読みっぱなしの雑誌。飲みっぱなしの湯飲み。それらは片付ける人間がいなくなったという理由でそこにあるままで、作る人間がいなくなったという理由でそこには温かな朝食など準備されているわけもないのです。
私はしゃっきりとしないまま台所へ行きました。空腹なのですが、何も食べる気も、準備する気も起きず、とりあえずコーヒーだけを淹れます。
胃袋の中にあった「空腹」がどろんと消えて、代わりに「茫然」が居座ってしまった気分です。
薬缶の口から落ちる湯が細挽にされたコーヒー豆の中に入っていく、じゅ、という音を聞きながら、ああ、そういえば、と思い出します。私に淹れさせたほうが自分で淹れるより美味しいのだ、という理由でコーヒーだけはよく私が淹れていました。私はコーヒーなど飲まなかったのに、おかげで私まで朝、コーヒーを飲む習慣がついてしまった。もっとも、私はコーヒーのあの苦さがどうしても好きになれず、砂糖とミルクを多く入れて飲むのですが。
冷蔵庫にもたれて淹れ立てのコーヒーの飲み込むと、熱がじわり、と広がります。口内から喉、食道を通過して胃袋。そしてじわりと哀しくなりました。これから独りでどうしよう、ということではないのです。独りになってしまったことが淋しいだけではないのです。「思い出して」いるのが哀しくて苦しいのです。私だけは、あの人を過去にはしたくなかったのに。
忘れてください
:懺悔とか言い訳とか、でも一番しなくてはいけないのは反省:
すごく短文で、しかも意味も分からないときた。更には、本当は他のをアップしたかった。あっはっは。こりゃ駄目だ。
やっとかよ、で、これかよ。と思われても、うん、その通り。ネ、だから注意したでしょう?二次創作無いって。自己満足炸裂だって。素晴らしい文章を求めて此処まで流れ着いてしまった方には、本当、申し訳ない。気を悪くしないで頂けたら有り難い。石投げないで。
更についでに云ってしまうと、続くのかどうかも分からない。(一番の重要項目だろうに)
Up Date 2006.07.08 「忘れてください」
今更ながら、フォントサイズは「中」推奨。全開で見ると白くて何だか淋しい。